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【ワインと本と音楽と】 第6回:ジュヴレ・シャンベルタン・レ・カズティエとベートーヴェン「皇帝」

チーズやワインのお仕事をさせていただいている私にとって、フランスは非常に身近な国です。そのフランスにとって7月はパリ祭を擁する特別な月。そうか、もうパリ祭の時期か・・・と、フランスの歴史に思いを致したところ、ちょっと面白いことに気が付きました。フランスって重大事件が7月に多く起こっているんですね。

ご存知の方も多いと思いますが、1789年7月14日はバスティーユ監獄が襲撃された日で、いわゆる「フランス革命」の端緒となった日。現在ではパリ祭として数多くのイベントが開催され、市民や観光客を楽しませてくれます。その後、「テルミドールのクーデター」により、恐怖政治の限りを尽くしたロベスピエールらが失脚したのも1794年7月27日、また王政復古で復権したブルボン王朝が懲りもせず旧体制的な貴族の優遇を行ったことで民衆の怒りを買い、まるでレ・ミゼラブルの一場面のような七月革命が起こったのも1830年7月27日~29日の3日間でした。果たして7月のフランスには彼らを熱くさせる何かがあるのでしょうか。そしてこの後、フランスはひとりの英雄、ナポレオン・ボナパルトの登場を待つことになります。

ワインと本と音楽と_第六回

前置きが長くなりましたがコルシカ島出身の元砲兵、のちにフランス皇帝と呼ばれるようになるナポレオン・ボナパルトは、ワインの世界にも決して無縁ではありません。ナポレオンのワインにまつわる話で一番有名なのは、数あるワインの中でシャンベルタンをこよなく愛し、遠征時にも必ずこのワインをお供させた、という話ではないでしょうか。

シャンベルタンはフランス・ブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタン村にあるグラン・クリュ(特級畑)のひとつ。力強いけれど、ただ強靭なだけではなく、品格やエレガンスも持ち合わせた「王者のワイン」と呼ばれるに足るワインです。もっともナポレオンはこのシャンベルタンを水で割って飲んでいたということで、後世のワインラヴァーからすれば、なんとももったいない話ではあります。

さて、ジュヴレ・シャンベルタン村から生み出されるA.O.C.ワインはピノ・ノワール種から造られる赤ワインのみ。白ワインは認められていません。

ブルゴーニュのワインというのは特級畑、1級畑、村名ワインの順に価値があるとされていて、ジュヴレ・シャンベルタン村でいえば、さきほどご紹介したシャンベルタン含め特級畑9つ、また1級畑もクロ・サン・ジャック、カズティエ、コンブ・オー・モワンヌなど、並はずれて優れたものを筆頭に多くの畑がひしめき合っています。まさに「きら星のごとく」といった印象です。こうしてみると、ジュヴレ・シャンベルタン村は、ブルゴーニュワインにとってやはりある種の聖地なのだという思いを新たにしてしまいます。

さて、今月の1本。私が最近飲んだジュヴレ・シャンベルタンのワインで印象に残ったものをご紹介するとしたら、ルイ・ジャドのレ・カズティエでしょうか。ルイ・ジャドというとネゴシアン(契約農家からぶどうを買い付けるワイン生産者)の印象が強いのですが、このレ・カズティエは自社畑のぶどうのみを使ったドメーヌもの。肉付きのよさ、威風堂々としたスケール感に合わせ味わいのバランスがよく、美味しいジュヴレ・シャンベルタンを飲んだという満足感を与えてくれます。まさにナポレオンに通じる風格です。

ワインと本と音楽と_第六回_ルイ・ジャド・GC・カズティエ

ルイ・ジャドのジュヴレ・シャンベルタン・レ・カズティエを堪能しながら聴きたい曲。このスケール感はやはりオーケストラ以外にはないでしょう。

ナポレオンといえば、やはりベートーヴェン。交響曲第3番「エロイカ」あたりが定番でしょうが、今回はピアノ協奏曲第5番「皇帝」を。実はこの「皇帝」はナポレオンを指す言葉ではなく、本作品の威風堂々としたスケール感を表現するための言葉として付与されたとのこと。でも、私がこの壮大な第1楽章から想起するのは、馬を駆って戦場を疾走するナポレオンの力強さ。破竹の勢いでヨーロッパ中を駆け回るナポレオンの強靭な行軍ぶりが見えるような気がするのです。


ダニエル・バレンボイムの見事な弾き振り
シュターツカペレ・ベルリン

今年のパリ祭は金曜日。この日のワインタイムはぜひベートーヴェンの「皇帝」を聴きながら、ワイン界の皇帝、ジュヴレ・シャンベルタン村のワインをじっくりとお楽しみください。





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アバド VPO ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 1986.8.30アバド VPO ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 1976.8.22アバド VPO ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 1976.5.23



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