FC2ブログ

【ワインと本と音楽と】 第9回:ルフレーヴ シュヴァリエ・モンラッシェと「みじかくも美しく燃え」

6月。祝日のない月ですね(笑)。そしてちょっと憂鬱な梅雨の季節。
春先から繰り返されている、暖かかったり涼しかったりの天候不順も段々体に堪えてきて、何となくしゃきっとしない今日この頃です。

こんな今だからこそ飲みたいワイン。一口飲めばしゃきっと背筋が伸びる、ドメーヌ・ルフレーヴ(造り手名)のシュヴァリエ・モンラッシェです。う~ん、かなり贅沢♡
最近では価格も高騰し続けているので、そういう意味でも背筋が伸びるかも?!

ワインと本と音楽と_第9回_ルフレーヴ シュヴァリエ・モンラッシェ

フランスのブルゴーニュ地方、とりわけコート・ド・ボーヌ地区は「シャルドネの聖地」と言われ、その中でもモンラッシェは世界中で造られているシャルドネの頂点に君臨する、いわばキング・オブ・シャルドネ。少し難しい話になりますが、「モンラッシェ」というと、厳密にはコート・ド・ボーヌ地区にあるピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村にまたがる、わずか8haに満たない特級畑㊟を指します。もちろん「モンラッシェ系のワイン」というのは他にもあり、名だたる特級畑、一級畑を含め、たくさんの素晴らしいワインたちが○○モンラッシェを名乗っています。この「○○モンラッシェ」がすなわち「モンラッシェ系」のワインです。そしてこの「○○モンラッシェ」の中で、本家「モンラッシェ」をも凌ぐのではないかと言われるのが、ルフレーヴのシュヴァリエ・モンラッシェ。

このワインは「貴婦人」に喩えられることがあります。私も一度飲んでみて、「貴婦人」とは正に言いえて妙だと思いました。ところで「貴婦人」ってなんでしょうね。平たく言えば高い地位や身分を持つ女性のことですが、いろいろ考えると現代人が使うこの言葉は、少し精神論的な意味合いが強いのではないかと思うのです。私のイメージだと、清潔感があり上品で、内面に確固たる芯の強さを持ち、何ものにも媚びない凛とした佇まいの女性、でしょうか。「女王」や「王妃」などの具体的な称号ではなく、「貴婦人」という漠然とした言葉は、庶民が高位の女性に求める「憧れ」みたいなものが詰まった、実に夢のある言葉なんじゃないでしょうか。

さて、ルフレーヴのシュヴァリエ・モンラッシェがなぜ「貴婦人」に喩えられるかというと、飲み手に与える印象が非常に端正で凛としているからなんですね。ではなぜそういう印象になるか。実はこのワインには端正かつ凛々しい印象をもたらす2つの要素があるのです。まずは酸味。しかもまろやかな酸味ではなく、きりりと引き締まった収斂性のある酸味です。この酸味が長期熟成を可能にし、ワインに長い命をもたらします。そしてもうひとつは硬質なミネラル。石灰質の土壌から造られているためとてもミネラリーなのですが、口に含んだ際に硬さを感じるのです。不思議な話だと思われるかもしれませんが、本当に硬い。機会があったらお隣の村の「ムルソー」というワインと飲み較べてみてください。ムルソーもミネラル豊かな土壌で造られながら、口に含んだ印象がまろやかで軟らかい。グラスを並べて飲み較べると、恐らくワインをあまり飲まない方にもその意味が分かっていただけると思います。そしてこの「酸」と「ミネラル」こそが、「切れ味のいい鋼(はがね)」や「引き絞った弓」に喩えられるシュヴァリエ・モンラッシェらしさを形づくり・表現しているのです。

さて、貴婦人のお相手をしながら聴きたい一曲。今回は正統派クラシックから。モーツァルトのピアノ協奏曲第21番第2楽章です。映画が好きな方でしたら、1968年に日本で公開されたスウェーデンの映画「みじかくも美しく燃え」で使われた曲、と言った方が分かりやすいかもしれません。

ワインと本と音楽と_第9回_ルフレーヴ・シュヴァリエ・モンラッシェ

この映画は妻子を持つスウェーデン軍将校とサーカスの踊り子の悲恋物語で、実話に基づいたものであると言われています。将校と踊り子は恋を成就させるため駆け落ちをするのですが、軍からの追っ手に追われ、安らげる場所も食べるものもなく、最期は拳銃で心中を遂げてしまいます。この破滅に向かう二人の恋を彩っているのが、切ないまでに美しいモーツァルトの旋律です。

この曲、ほとんどの方が必ず一度は聴いたことがあると思うのですが、ピアノの高音域の単音で静かに奏でられるメロディは、美しい中にどこか凛と張りつめたものを持っていて、そこがシュヴァリエ・モラッシェの引き締まった緊張感と共鳴し合うような気がするんですよね。

上述の映画でピアノを演奏していたのはハンガリーの名ピアニスト、アンダ・ゲーザ(日本ではゲザ・アンダで有名)ですが、私の愛聴盤はアルフレッド・ブレンデルです。


ピアノ:アルフレッド・ブレンデル
指揮:サー・ネヴィル・マリナー
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

上記でご紹介した第2楽章のみならず、このピアノ協奏曲第21番自体が非常に構成に優れていて大好きな1枚です。第1楽章と第3楽章の壮大で軽快な演奏と、緩やかな第2楽章の対比も見事ですので、ぜひ聴いてみてください。

じめじめしてるなー、なんかやる気でないなー、といまいちな6月も、せめて毎日のワインタイムくらいは美味しいワインを飲んで気晴らしをし、夏本番に備えましょうね!

㊟特級畑(グラン・クリュ)・・・ブルゴーニュ地方の格付けの最高位。
※ドメーヌ・ルフレーヴのシュヴァリエ・モンラッシェはかなり高額なので、ルフレーヴやモンラッシェ系ワインを初めてお飲みになる方は、まず手始めにルフレーヴの村名ピュリニー・モンラッシェを試されることをお勧めします。スタンダードですがとても素晴らしいワインです。味わいの方向性としてはシュヴァリエ・モンラッシェに近いので、その片鱗を感じていただけることと思います。





ENOTECA Online(ワイン通販 エノテカ・オンライン)
↑ワインのご購入はこちらからどうぞ








ポリーニ(P)ムーティ(指) シューベルト:「魔法の竪琴」序曲、モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番 2004



価格:
1,780円


(2018/06/14 14:40時点 )


感想:0件


スポンサーサイト