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【ワインの用語集】:シュール・リー(上級向け)

ワインの用語集_シュール・リー

最近、日本ワインに注目が集まっていて、
先日もマツコ・デラックスさんの「マツコの知らない世界」で取り上げられていました。

ワインをテーマにした人気漫画「神の雫」の原作者 亜樹直(あぎ・ただし)さんがいろいろな日本ワインを紹介されていて、とても面白かったですね!

この番組では甲州種のワインの紹介はなかったのですが、
甲州からワインを造る際によく使われる「シュール・リー」という製法について少し説明をしたいと思います。

少し難しい話になりますが、とても面白いし興味深い(・・・と思う^^;)のでしばらくご辛抱の上お付き合いください(笑)。

◆そもそも、シュール・リー(仏語で「滓の上」の意)とは?◆
もともとはロワール地方でミュスカデ種(白ぶどう)から白ワインを造る時に用いられてきた特殊な作業で、発酵後、ワインを滓引きしないでそのまま発酵槽の中に放置して年を越させ、翌年の4~5月頃に滓の上にある上澄みのワインだけを取り出して瓶詰めを行うというもの。

つまり、発酵後のワインを木樽などへ移動させることなく、滓と一緒に数か月寝かせておく、ということですね。

◆ふつう、白ワインはいつ滓引きするの?◆
通常、白ワインは発酵終了後、早期に滓引きを行います。

◆なぜ、早期に滓引きするの?◆
発酵終了直後はまだワイン内に生きている酵母がおり、それらは酸素を必要とするので、発酵槽の中は極端に酸素の少ない嫌気状態になっていきます。
こういった環境の下では、ワインに硫化水素が発生することになります。

自然派ワインで酸化防止剤を添加しないものに、よく「還元臭」が出るのですが、この「還元臭」の正体が硫化水素。
片茹で卵、ひどくなると腐った卵とも称されますが、いわゆる硫黄のような匂いですね。

この硫化水素臭をワインに移さないために、マロラクティック発酵させない白ワインはなるべく早い段階で滓を取り除きます。

※マロラクティック発酵はワインを空気に触れさせ、空気中の乳酸菌によってリンゴ酸を乳酸に変えるというものなので、ワインは嫌気状態になり得ません。

※現在では、シュール・リーの期間中、ワインを撹拌することで硫化水素を発生させないことができるようです。

◆ではなぜ、シュール・リーを行うの?◆
嫌気状態の下、滓とともに数か月発酵槽の中にワインを放置するのがシュール・リー。
なぜ、あえてこの作業を行うのでしょうか。

シュール・リーを行う意義 その1:
シュール・リーを行うぶどうは主張しない品種が多く、アロマティックな香りやキャッチーな個性があまりないものが多いんですね。
ということで、意義その1は控えめな味わいに厚みや奥行きを持たせることです。

滓には酵母の死骸(!インパクトの強い言葉ですが、ワインやチーズの世界では頻繁に出てくる言葉で、極めてフツーに使います。)がたくさん存在しています。それらが分解し、アミノ酸やペプチドとなってワインに溶融することで、ワインに旨味がもたらされます。

また、長期間澱と接触することにより、複雑な香りや味わいがワインに移って、控えめだった風味に立体感が出てくるのです。

ちなみにアミノ酸はたんぱく質が分解したもので、旨味成分。
ペプチドとはアミノ酸が結合したものです。

シュール・リーを行う意義 その2:
フレッシュさ、爽やかさのあるワインに仕上がる。

酸素にさらされず、密封状態を保ったままのワインは若さを失わず、フレッシュな状態を保ったまま瓶詰めされます。
またシュール・リーを行ったワインにはアルコール発酵の際の炭酸ガスが残っていることがあり、それも口に含んだ際に爽やかさを感じる一因となります。

以上の2点がシュール・リーを行う大きな理由です。

ちょっと難しくなりすぎてしまいました。
分かりやすい説明を目指していろいろな情報を入れ込んだら、逆に専門的になりすぎてしまいました!
もう少し分かりやすい簡潔な解説を初級・中級編として再掲載し、この記事は上級編として別にカテゴライズします。

◆簡潔なバージョン、掲載し直しました!
【ワインの用語集】:シュール・リー


(写真:ドメーヌ・ド・レキュ・ミュスカデ・セーブル・エ・メーヌ・キュヴェ・クラシック 2011 (フランス・ロワール地方/シュール・リーを行っているワイン)
(出典:日本ソムリエ協会 教本)

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